クリスマスの夜に総括

今年一年を振り返り、最も端的に総括をした時、
まっ先に思い浮かぶ言葉は「アイドル戦国時代」ということであろう。
AKBが隆盛を極め、ハロプロは凋落の一途、
アイドリングは鳴きも飛びもせず、一方でももクロが雄飛した。
戦国の定義はさておき、群雄割拠の中で凌ぎを削る様は
とりあえず戦国の名に相応しいものだったといえよう。
しかし、私こといつも紺プリこそ只のアイドルヲタクではない。
メディアの取り上げるような、単なる言葉遊びの戦国ではなく、
本当の意味での戦国を知り、
闇の世界の在宅から見極めてこれを斬る狼の仕事人なのである。
以下にAKBの成功を軸とした今年一年のアイドル事情を斬る。


AKBの成功がもたらしたものは、
固定客としての「おっさん」層を確保しつつ
流動的な「ピンチケ」層をさらに取り込むための勝利の方程式である。
劇場発である利点を生かし、ハロプロよりもドラスティックに
ヲタとの触れ合いの場を広げた。
また「ピンクチケット」なるものを発行して、限定イベント等により
中高生ほど現場に来やすい環境を作り、若い層を虜にした。
一方で恋愛禁止という大変解りやすい名目を掲げ、
不祥事の続くハロプロを牽制しつつ、実際に懲罰を行う。
誰もがハロプロかAKBかという二者択一の中で、
AKBを選ばざるをえない状況に追いやられていったのである。


後発のももクロは地下出自という環境も似通っているため
AKBの成功に習い、これらのピンチケ優遇政策を踏襲することになる。
しかし、ここではたくさんの悲劇が生まれた。
ピンチケ優遇の度が過ぎ、メンバーによるヲタのあからさまな差別、
特典の不発行、座席配分の不平等などが生じ、
固定客のヲタから瓦解しかかって、頭ひとつ抜きんでたものの
課題は来年に持ち越されることとなった。


凋落の一途をたどるハロプロは若手メンバー中心に
起死回生となるユニット「スマイレージ」を送り込んだ。
地下からの出発を敢えて意識し、一万人の署名を集めたが
もとより大手のアイドルが地下の流儀に従うことには
無理があったと思われる。「ピンチケ優遇」の意味をはき違え、
ブログ内に公共性のない私信を盛り込んだことが発端となり、
すっかり人気が低迷しまったことは記憶に新しい。


総じて見ると、どのアイドルにも共通して見えるキーワードは
「ピンチケ優遇」である。
しかしそうではなく敢えて私は
「アイドル戦国時代」という言葉を強調したい。


30代、40代の団塊JR世代の諸君。これは戦争なのだ。
ピンチケを数として取り込み、常時大金を落としている諸君らを
一顧だにしない運営と、我々との絶えない闘争だと考えてくれ。
ピンチケが真のアイドルの姿を知っているといえるだろうか?
断じて否。
聖子、明菜を目の当たりにしてきた我々の知りうるアイドルと
AKBで育ったピンチケがアイドル像を共有するには無理がある。
我々は正統派アイドルを追いかけてきた過程の上にAKBを見るから
大変面白いと感じるが、彼らにとってはそれがアイドルのすべてなのだ。
これはおそろしいギャップであるといえる。
このギャップを意図的に作り出し、
アイドルの通念を書き換えようとしている秋元康という男の存在に
我々は常に留意しなければならない。
秋元は昔を知る男であり、オニャンコによって一通りの試行錯誤を
すでに行っている男だ。
奴の目論む新しい形のアイドルを生み出すのに
最も邪魔なのは、聖子明菜を知るおまえらなのだ。
ピンチケ優遇政策は実はおまえらヲタクをアイドル産業から消し、
なかったことんしようとするその目論見の延長線上にある。
見識のあるヲタクは既に気づいている。


ハロプロを離れて有余年、私は地下に潜った。
そこで接したアイドル達は、箸にも棒にも引っかからないような
木っ端のように小さい事務所所属だが、年寄りをいたわり、
わけ隔てなく平等にみんなに接してくれる優しい子たちだった。
アイドルとは弱者に優しく、
世間からはみ出た侠者である我々にとっても明るい太陽である、
そういう存在ではないのか。
売れてきたからと言って調子に乗ってイケメンのピンチケには
笑顔振りまくくせに、おっさんとは話そうともしない。
そんなアイドルには夢がない。福祉がない。
何より人を人とも思っていない。
そんな世の中が嫌なら戦え。ピンチケ優遇政策に断固立ち向かえ。
我ら団塊JR世代の本当の戦国時代の幕開けはこれからである。