至強の強

ANNにおいてGAMの「Thanks!」が公開された。
賛否様々な評価が、既にインターネットの世界では下されているが
それはさておいて私の率直な感想を述べるなら
確かに良曲とまでは言えなくとも、最強の二人の持つ持ち味を
極限まで発揮できる可能性が十分にある楽曲なのではないか、
というところだろう。


皆さんがこの曲を聴いてまず第一に抱かれる印象は
思いのほか松浦亜弥の存在感が薄い、ということではないだろうか。
しかしこの事実は、良識あるGAMヲタの間では既に予測されていた。
松浦がアイドル業界に残した実績が偉大過ぎるため、
世間は松浦の等身大を大きく上回る形で彼女を評価しがちである。
しかし松浦の本当のよさは世間の見るような
類稀なるアイドル性にあるのではない。
与えられた仕事を誰よりも確実に、上手にこなす仕事の徹底振りに
松浦の「秀才」が光るのだ。
このことを考えればユニットGAM内にあって
松浦の存在感が普段より失われるのは、むしろ自明なことであった。


そして衆人の期待を裏切って”GAM”が見せてくれたのは
ググッと前に出た藤本美貴のヴォーカルであった。


至強の最中にあって更に強い低音。


松浦に比して藤本には完全に「天才」の名が相応しい。
音楽上の理論など恐らく彼女の中にはほとんどないだろう。
ただ心の欲するまま楽曲に自らの低音をぶつけ
松浦以上に人をひきつけることが出来るのが藤本美貴だ。
天才は衆人に理解されにくく、ほぼソロ剥奪という形で
娘入りを宣告されたことは心あるファンにとって
残念極まりないことであっただろうが、GAMでは
ソロ復活の予兆すら感じさせる活躍ぶりであることを特記しておく。


この藤本が楽曲のスピードに乗ったところを
松浦の針の目を通すような正確な音取りがサポートし
「Thanks!」の演出する世界観は世界を超えた。
親友同士の「秀才」と「天才」がお互いに対するありがとうの気持ちを
ファンに、観衆に、そして全世界の人類に伝えることが出来る至強。
狼の藤本美貴のヲタにとってこれほど待ち望んだことがあったか。


「天才」は「衆人」の中にあってはなかなかに認められないものだが
「衆人」が百人寄らなければ何も出来ないところを
「天才」はそれを理解してくれる友人が一人でもいれば事足りる。
今回の曲で藤本美貴がいつもより溌剌と歌えている気がするのも
そうした心の通い合った友人が近くにいてくれるからであろう。
藤本を支えてくれた松浦と、私を支え続けてくれている読者諸君らに
心から「ありがとう」といいたい。