カレー

今日は昔話でもしようか。桃子とユリナを見て思い出したよ。
俺が小学2年か1年ぐらいだったと思う。給食でカレーがでた。
無論、小学生にとってのカレーは大人気メニューだ。
皆心躍らせていただきますの号令を待っていた。
俺の隣は確かYちゃんという女の子だった。
ボーッとした子で太っているので皆から苛められていたと思う。
その子も例外なくカレーが好きだったのだろう。
Yちゃんの目がキラキラ輝いていたのをよく覚えている。


さんざん待たされてやっと当番の者が号令をかける段に相成った。
皆待ちわびたとばかりに神妙な顔つきになる。
「いただきま〜す!!」元気のいい声が教室中に響き渡る。
この時ばかりは普段ヒステリックな女の教師もニコニコ顔だ。
楽しい給食がやっと食べられる・・・・・・・・・・筈であった。


豈図らんや平和な昼食の時、転じて阿鼻叫喚の地獄とならんとは。


俺の斜め前、つまりYちゃんの前の席のマサハルという腕白が
いただきますの号令に必要外の力を入れ、自分の座っている座席ごと
後ろにのけ反るような格好になったのだ。当然のことながら座席の背が
後部のYちゃんの机にあたる。Yちゃんの机の上には彼女の肌のように
白く美しい牛乳瓶が・・・


危険を感じた私は机ごと退避して事無きを得た。    が、無残。
Yちゃんの食卓はあたかもバージンスノー敷き詰められたかのごとく
一面の白に染まった。半拍遅れて、戦々兢々となる教室。
怒号と悲鳴
絶叫と嗚咽
為す術も無かった無力な俺はただ呆然と立ち尽くし
彼女のテーブルを眺めていた。
時折ちらちらと顔をのぞかせる黄は、
彼女の心が完全な白でないことを物語っていた。


まあ、何が言いたいかっていうとだ。カレーにヨーグルトいれんなってことだ。